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地域商品レポート - 秋田銀線細工(秋田商工会議所) 伝統の「技」と現代の感性がコラボした「秋田銀線細工」の進化形

2020/04/15

feel NIPPON

秋田の伝統工芸品「秋田銀線細工」。
0.2mmという微細な世界から広がる独特の造形美は、見る者のため息を誘い、唸らせ、そして楽しませる「技」のエッセンスが詰まっています。
伝統の技と現代の感性がコラボした、秋田銀線細工の新しい進化形をご紹介します。

美術品と見まごう純銀の装飾品

江戸時代の鉱山開発で日本有数の金や銀の産出量を誇った秋田藩。
古くは武具やキセル、かんざしなどが製作されてきた金工技術が下地となって発展し、新たな技術やデザイン感覚が加わり生み出されたのが、秋田の伝統工芸品である「秋田銀線細工」です。

直径0.2mmほどの細い銀線をより合わせることから始まるその製造工程は、とても繊細です。
より合わせた銀線を棒状にし、指先とピンセットで「平戸」と呼ばれる渦巻き状にしていきます。
これとは別に、太い銀線を枠とし、そこに平戸をはめ込み、そこから模様をつけていきます。
さらに銀に真鍮を加えた銀ろうでそれぞれのパーツを溶接し、花や動物など様々な模様を成形していくという工程をたどります。
純銀の優雅で高貴な光沢をたたえた完成品は、美術品と見まごうほどのインパクトがあります。

この銀線細工は、秋田では婚礼などの晴れの日や大事な行事のときに身につける装飾品として親しまれてきました。

この伝統的な技である秋田銀線細工と現代の感性がコラボしたのが、これからご紹介する「ボトルストッパー」「ぐいのみ」「シンブル(指貫)」です。

デザイン公募で銀線細工の新たな魅力を発掘

秋田商工会議所では、秋田銀線細工の新境地を拓くため、2017年度に公募によるデザインコンペを実施しました。

テーマは「あなたに贈る銀線細工」。

新規性・独創性・市場ニーズ・美的価値・商品化の可能性の4項目を審査基準とし、応募総数は個人やグループなど111件にも達しました。
その応募作の中から商品化したのが、ボトルストッパー、ぐいのみ、シンブルです。

ボトルストッパーは、この公募で優秀賞に選ばれたデザインを商品化したもの。
これまでになかった立体的な造形であり、銀の美しさをそのままに職人の技術とアクリルという新素材をかけ合わせたところが、秋田銀線細工の新しい魅力と可能性を引き出しています。
アクリルの球体に入っている折り紙の鶴と金魚は、おめでたいモチーフであり、ギフトに最適です。

銘酒を一献傾けたくなる「ぐいのみ」

ぐいのみも、銀線細工をガラスに閉じ込めるという斬新なアイデアを商品化したものです。
このアイデアを形にするまで9ヵ月もの試行錯誤を重ねた苦心作になります。

ぐい呑みをのぞき込むと、立体的に浮き上がるかのような銀色の花模様。
あるいは、けなげに咲いている小さな花冠の愛らしさ。
ぐいのみの底にちりばめられた銀線細工は見る人の心を惹きつけるはずです。

秋田は日本でも有数の米どころであり、銘酒の宝庫でもあります。
「このぐいのみで一献傾けたら、その味はいっそう引き立つだろう」と、それを手にした人の想像をたくましくすること間違いなしの逸品といえます。

女子中学生がデザインした幸福を呼ぶ「シンブル」

公募デザインを商品化した中でも、伝統工芸品と現代の感性がコラボした象徴的な商品といえるのが、シンブルです。
このデザインの作者は、当時中学生の女子生徒とそのお母さん。
まさに伝統の技と現代の若い感性の結晶といえるものです。

また、シンブルは裁縫道具としてだけではなく、西洋では女性に幸福をもたらすとされているアクセサリーで、そのコレクターも多いといわれています。
純銀の、しかも日本の伝統的かつ高度な技によって生まれたシンブルは、国内のみならずインバウンド向けの高い商品価値を有しているといえます。

作り手と売り手のウィンウィンの関係を目指して

ボトルストッパー、ぐいのみ、そしてシンブル──。
いずれも秋田銀線細工の持つ繊細かつ優雅であり、高貴な輝きを損なうことなく、現代人の感性や嗜好性、興味と関心と惹きつける逸品に仕上がっています。

秋田商工会議所では、伝統工芸品の新境地を切り拓いたこれらの商品を、地域活性化の起爆剤の一つととらえています。
そのためには、作り手と売り手のウィンウィンの関係を築くことが重要となります。

ボトルストッパーはロット生産を見据えたデザインではあるものの、ぐいのみやシンブルはハンドメイドのため、量産化が今後の課題の一つ。
そうとはいえ、その希少性はマイナス面だけではないはずです。

秋田商工会議所は、秋田銀線細工の新たなストーリーを紡ぎながら、幅広い販路の開拓に向けて活動し続けています。

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